【蔓柏】
**柏紋 抜粋**
大宮司家など神職に多い
ブナ科の落葉高木で、高さは約八メートルに達する。葉は大きく、周辺に深い波状の切れ込みがある。枝葉ともに細毛が密生、雌雄同株。その若葉で端午の節句の柏餅を包むなど、昔から食器専用の葉として使われてきた。形も大きさも手ごろで、葉も厚くしなやかだからである。
のち、食膳をつかさどる専門職を”膳夫”(かしわで)と呼ぶのも、ここからきている。宮中では、大嘗会の式典にはいまも食器の代わりに用いている。古代より神事用の神木として尊重され、伊勢神宮、熱田神宮、吉備津神社、宗像神社の大宮司家をはじめ、多くの神職の家紋となった。
公家では、神道をもって調停に仕えた卜部氏、その後裔の吉田、錦織、藤井、萩原の四家も柏紋を用いる。武家では、徳川時代に山内、蜂須賀、牧野、中川の四氏がある。
柏紋の基本は三つ柏。これは七福神の恵比須神、また旧制一校の校章としても有名。この三つ柏と抱き柏がもっとも多く、柏紋の八割を占める。葉の数は一葉から九葉まであり、対い、抱き、違い、輪違いなどいろいろな組み合わせで変化に富んでいる。
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