【丸ニ揚羽蝶】
**蝶紋 抜粋**
いわずとも知れた桓武平氏の代表家紋。いわゆる陛下の揚羽蝶。わが国の紋章は、花紋が中心で動物(魚も含む)に因んだものが少なくない。が、この紋だけは別格。蝶の艶麗優美な姿態を、装飾的な構図できりりとまとめた造形は、見事というしかない。しかもそれは舞うがごとく千変万化。
平清盛の父貞盛が「天慶の乱」を討伐した功により、朝廷から鎧を頂戴した。この鎧に向かい蝶(対い蝶)の文様があったので、これをとって平氏の紋にした、と伝えられている。
平家は、壇の浦で滅んだが、残党もいた。平頼盛は、母 池禅尼(いけのぜんに)が源頼朝の命を救った関係から、六波羅に居を構え、朝廷に仕えることができた。この一族を”六波羅党”という。このほか桓武平氏の末裔と称するものが競って蝶紋を用いた。このため戦国時代から徳川時代にかけ、武家を中心に三百余家が使用するほどになった。もちろん公家の平氏も用いた。
蝶紋は、その描き方のスタイルで五つに大別できる。①飛び蝶、②揚羽蝶(とまったポーズで翅を揚げる)、③蝶丸(輪蝶)、④胡蝶(真向きのもの)、⑤浮線蝶、などの変形。
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